当院では、まず「最新の西洋医学」を基本診療の柱と位置づけています。西洋医学とは、いわゆる近代医学・現代医学の枠組みを動物医療に適用するもので、発症した病気や障害のメカニズムを検査・画像診断・血液検査・専門機器などを用いて明らかにし、「原因を取り除く」「病態を改善する」「症状を緩和する」といった手段を講じることが特徴です。人医療と同様、獣医領域でも多くの疾患がこのアプローチによって救われています。
具体的には、当院では循環器専門診療、眼科診療、歯科診療、再生医療など、専門性の高い設備・検査体制を整えており、重篤な症状や複雑な病態に対しても高度な対応を行っています。
この西洋医学の良さは、明確な診断ツールや治療ガイドラインに基づき、病気の根本原因へアプローチできる点にあります。たとえば、画像検査で腫瘍の明確な位置を確認したり、血液検査で臓器機能を詳細に把握したりと、「見える化」された手段があるため、飼い主様にも治療方針を説明しやすく、安心してお任せいただけるという特徴があります。
一方で、こうした西洋医学アプローチには「病気が進行してしまってからの対応」「原因が明らかにならない不定愁訴」「体質や未病の段階への対応が必ずしも得意でない」などの限界も指摘されており、近年ではそれらを補う他の医療体系との併用が注目されています。
当院では、こうした最新の西洋医学を基盤に据えつつ、より幅広く、より動物に優しい医療をめざしています。診断・治療・専門検査・手術・フォローケアまで、西洋医学の強みを活かし、かつ飼い主様・動物にとってできる限り負担を軽減することを念頭においており、「安心と信頼」を日々の診療でお届けしています。

そして当院の医療の特徴とも言えるのが、「東西（中西）結合医学＝西洋医学＋東洋医学」の融合アプローチです。最近では「統合医療」「中西結合獣医学」という言葉も用いられ、両者のいいところを取り入れながら、より包括的で動物に優しい医療を目指す動きが広がっています。
当院では、まず西洋医学で「病気・異常・検査値・画像所見」など客観的なデータをしっかりと把握します。どの臓器・どの病態が関わっているか、どの程度進行しているかを明確に診断し、必要に応じて手術・投薬・専門検査などを行います。次に、東洋医学の視点を加えて「体質」「生活環境」「未病・バランスの乱れ」「ストレスや加齢による変化」「動物の持つ自然治癒力の観点」などを診ます。この二方向からアプローチすることで、ただ疾患を消すだけでなく、その後の再発予防・体質改善・日常生活の質の向上までを視野に入れたケアが可能となります。実際、当院のウェブサイトでも「中西（ちゅうせい）結合獣医学」が特徴として掲げられています。
この結合アプローチのメリットとしては、例えば検査値がそこまで高くない、または明確な異常が出にくいが元気がない・動きが鈍い・慢性症状があるといった“グレーゾーン”のケースにおいて、東洋医学的ケアを併用することで改善がみられやすくなるという点があります。さらに、西洋医学的な治療を行いながら、東洋医学の補助的な手段（漢方・鍼灸・養生）を取り入れることで、治療期間の短縮・薬剤使用量の軽減・動物の治療負担の軽減といった効果も期待できます。実際に、動物医療の現場でも「東・西洋医学統合治療」によってより広範な症例に対応する試みが紹介されています。
当院では、診療初期（発症直後）からこの結合アプローチを検討し、手術・投薬・検査・専門処置といった西洋医学的手段を適切に実施しつつ、動物ができるだけストレスなく過ごせるように東洋医学的な考えを併用します。また、治療後のフォローケア、ホームケア（飼い主様への生活指導・食事・運動・マッサージ・漢方外用）に至るまで、東西医学の観点からトータルケアを行うことを当院の特徴としています。
こうした東西結合医学の実践により、当院は「動物に優しい治療」「未病からのケア」「長く健やかに暮らすためのサポート」を理念として、飼い主様と動物が安心して暮らしていくためのお手伝いをいたします。