歯周病外来について
いつまでも元気なワンちゃん猫ちゃんでいてもらうためには、若い頃からの歯周病ケアがとても大切です。
歯周病ケアの重要さと、当院で奨めています歯周病外来について紹介します。
2018年のアニコム白書によると、犬の歯周病は1-2歳ころより発症し、年齢と共に増加する傾向にあります。
歯周病は、歯や歯ぐきだけの問題ではなく、顎の骨(歯槽骨)が解けてしまう病気で、放っておくと顎の骨が折れてしまったり、鼻炎症状(根尖鼻腔瘻)や眼の下に穴が空いてしまったりします(根尖周囲病巣)



歯周病が風邪や皮膚病と同じ感染症だということも見逃せません。
口腔内には、多くの口腔内細菌が存在します。口腔内免疫が低下してくると、病原性歯周病菌の勢いが増してきて、歯周ポケットに入り込んで繁殖していきます。
当院の歯周病外来では、歯周病の診断から治療、また治療後の予防から歯磨き指導までを一貫して行っております。
歯周病は、一回治療をして終わりというわけではありません。治療後に適切な口腔内ケアを行わなければ、3か月で元の状態に戻ってしまいます。そこで、歯周病治療前にまずは、歯磨き指導から始めなくてはいけません。
当院では、独自に開発したVMTC(獣医師による特殊機器を用いた歯のメディカルケア)を用いて歯周病予防・治療の確実的な効果が期待できるメソッドを導入しています。
当院独自のVMTCによる歯周病の予防・治療
歯周病の予防と治療に終わりはありません。
ホームケアだけでは除去しきれない歯垢や汚れは、定期的に動物病院にてクリーニングする必要があります。
当院で実施しているVMTC(獣医師による特殊器械を用いた歯のメディカルケア)を定期的に受診することで、ペットを歯周病から守ることができ、また、当院開発の漢方配合IGY卵黄抗体ジェルを日々のホームケアに加えると、歯周病の発症を予防することが可能になります。
歯周病ケアマッサージ

歯周病の予防には歯磨きが大切ですが、歯磨きと同じくらい大切なことが唾液をたくさん分泌することです。
人間がよく噛んで食べることで唾液の分泌が促進されますが、動物にとっては難しいことです。
当院では、一般社団法人 日本ペットマッサージ協会理事長でもある石野 孝院長が考案した「口腔ケア 唾液分泌促進マッサージ」を推奨しています。
歯周予防マッサージ動画
漢方配合IGY卵黄抗体

「漢方配合IGY卵黄抗体」は、当院も参加して開発した、歯周病原因菌の増殖や、菌周病菌が産み出すプロテアーゼの阻害効果が期待される口腔ケアジェルです。
本ジェルには、鶏卵抗体(IGY)を含有する卵黄が配合されており、歯肉の炎症、出血を抑制、歯周病菌群の増殖を抑える効果が期待されます。
さらに本ジェルには、口腔内を潤わせ、歯肉の炎症を抑え、痛みを軽減するクチナシエキス(山梔子)と、抗酸化や抗菌作用のあるフコイダン(褐藻エキス)を含有しています。
使い方は簡単、歯周ポケットに擦り込むように軽く歯茎をマッサージするだけの簡単ケアです。
「漢方配合IGY卵黄抗体」開発ストーリー
当院とIGY卵黄抗体の出会いはおよそ10年前に遡ります。
ある日、大学の先輩の獣医師から、IGYの卵黄抗体のパウダーの治検を依頼されました。当時はIGYに対しての知識はほとんどなかったのですが、IGYのパウダーをフードにふりかけて、ペットに与えた検査、約80%のペットに口臭が著しく改善する結果を得ました。
しかし、このパウダーを水に溶かして口腔内に塗布すれば、もっと効果があると思ったのですが、実はこのパウダーは水に弱く、水に浸すとすぐに失治してしまいます。今回当院ではIGY卵黄抗体をジェル化し、漢方を配合することに成功し、製品化することができるようになりました。
早ければ3日で口臭が減少
ここ数年ペットの寿命が延びたことで、歯周病のペットをよくみるようになりました。しかし、せっかく麻酔をかけて治療をしてもその後の歯みがきケアが十分でないと3ヶ月で元の状態に戻ってしまいます。本ジェル作成にあたっては、国際中獣医学院日本校役員の臨床獣医師たちによるご協力・研究・治験を進め、多くの動物病院従事者たちのご支持を頂ける今までにないものに仕上がりました。
ご使用になられると、早ければ3日程度で口臭が減ったことが感じられ、その効果の高さに驚かれることと思います。
10年後には世界からペットの歯周病を撲滅できるよう、歯周病にお悩みのペットオーナーの皆様にぜひ本ジェルをお試し頂ければと思います。
1530(イチゴウサンマル)運動
当院では、1530運動を提唱しています。
1530運動とは、人間の8020(ハチマルニイマル)運動を犬猫にあてはめたもので、15歳で30本の歯を残そうという運動です。
当院開発のIGY卵黄抗体ジェルは、1530運動を現実にすることが期待できます。
チワワ3歳の治験臨床検査(動画)
使い方

1.上層の黄色い部分が卵黄タンパク抽出成分です。下層の透明成分と均質に混ざり合うことでより効果を発揮しますので、必ず使用前によく振って下さい。
2.人差し指の第一関節の長さにジェルをとり、歯周ポケットに擦り込むように、軽く歯茎をマッサージ。歯みがき後に行うと、より効果的です。
1本1か月を目安にお使い下さい!
当院独自の歯科治療VMTC
VMTC(Veterinarian Mecanical Tooth Medical Care)とは
VMTCは、定期的に獣医師がペットの口腔内の状況に応じて、ハンドスケーリングや特殊なブラシを用いて、日々の歯磨きでは除去できない歯石や歯垢を取り除き、歯周病を予防、治療していくというペットの口腔領域では全く新しい考え方です。
人間の歯科領域ではPMTC「Professional Mechanical Tooth Cleaning」の略で、一般的には「予防歯科プログラム」のことを指します。
予防であるため、歯周病や虫歯などになってから治療を開始するというものではなく、歯周病や虫歯などにならないように行う口腔内のクリーニングです。
当院のVMTCは人間のPMTCをペットに実施することで、ペットに負担の少ないオリジナルのメディカルケアです。
VMTCを可能にしたのは、石野院長開発の「漢方配合 IGY卵黄抗体ジェルVi-001」です。本ジェルは、犬の主要歯周病菌であるPorphyromonas gingivalis ポルフィロモナス・ジンジバリスの卵黄抗体です。本ジェルを用いることで、抜歯が必要な歯周病も温存できる可能性があります。
抜歯が必要か否か?は歯科レントゲン検査やプロービングなどの検査によって診断します。

VMTC前

VMTC後
VMTCによる歯科ケアの手順
手順1.施術前の診察
初回診察時に、口腔内の状況を把握し、VMTCによるケアが適しているかを判断します。
■VMTCは全身麻酔を使わないケア方法のため、次のようなケースには適応しない場合があります
- 重度の歯周病で、麻酔科での治療が必要な場合➪麻酔科での治療を提案させていただきます
- 心臓疾患、運動器系疾患(椎間板ヘルニア、変形性関節症など)、呼吸器系疾患などがある場合
- 口を触るのを嫌がる、極度に神経質、短頭種(フレンチブルドック、パグなど)
- 体調がすぐれない動物
- ワクチン接種後、一週間以内はご利用をお断りしています
- 心疾患(心雑音)、てんかん、骨・関節系の持病や手術歴があるワンちゃんには施術を行うことができません
- 病例:椎間板ヘルニア(首・胸・腰)、環軸亜脱臼(首)、無菌性大腿骨頭壊死症(レッグペルテス)、股関節形成不全、前・後十字靱帯断裂、変形性関節症、変形性脊椎症、ウォブラー症候群、馬尾症候群 、呼吸器疾患(気管虚脱、気管狭窄)、会陰ヘルニアなど
- 性格的に難しいワンちゃん(口を触らせてくれない、ストレスから呼吸がうまくできなくてチアノーゼを起こすなど)や、一部犬種(短頭種など)は、施術ができない場合があります
- 施術当日の体調がすぐれない場合など
手順2.歯石・歯垢除去
特殊器械を用いて口腔内の歯石、歯垢を除去し、特殊なブラシを用いて歯面を滑らかにします。
手順3.歯周ポケットケア
必要に応じて歯周ポケット内に薬剤、特殊ジェルを塗布します。
手順4.次回ご案内
1回15分程度でVMTCは終了します。口腔内の状況により、最初の3-4回は1-2週間おきに実施が必要な場合があります。
手順5.ホームケア
次回のVMTCまで、飼い主様によるホームケアを実施してください。
口腔内の状況により、2週間~3か月間隔でのケアが必要になります。
VMTCの施術間隔と費用について
- 一回の施術時間は、動物の状態により多少の差はありますが、15分程度です。
- 施術間隔は、症状にもよりますが、2週間~3か月間隔です。
- 1回の施術費は、症状によっても異なりますが、1回5,000円程度です。必要に応じて、お薬代やケア用品がかかる場合があります。